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July 05, 2004

Category: [映画]

おばあちゃんの家

2002年/韓国/カラー/87分
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物語

 かぼちゃを作って働きながら一人暮らすおばあちゃんの家は緑一杯の山間の村にあった。お母さんが新しい仕事を見つけるまでの間、サンウは、はじめて会うおばあちゃんの家で預かってもらうことになった。
 ソウル育ちのサンウは、テレビの電波も入らない家と喋れないおばあちゃんが気に入らず、持参した缶詰をおかずにごはんを食べ、持参したゲームで遊び、わがまま放題だった。

感想

 冒頭の10分くらいを見ると展開やだいたいの結末が予想でき、おおかたそのとおりになって終わる映画で、激動の展開や衝撃的なクライマックスのようなものはないが、サンウの心がひらかれていくさまが、田舎のゆるやかな時間の流れとともにゆっくりゆっくり描かれている。サンウが心を開いていく過程で、おばあちゃんにいろいろなことを「教えてもらう」というスタンスにはならないところがとてもいい。また、サンウが最後までいわゆる「よくできた子」になることがないまま終わるのも、記号的でなくていい。
 贈り物とはモノではなく相手を思う心なんだよなあ、ということが、結末で優しく語られ、先が読める展開にもかかわらず結局泣かされてしまった。心を尽くして気持ちを表す、という行為は、多くの人間と関わりながら社会生活を忙しく送っていると、頭では理解していてもなかなか実践しにくいもので、ゆとりのある生活にあらためて憧れを抱かされる。

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