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July 22, 2004

Category: [映画]

フランスの友だち

1989年/フランス/カラー/108分
監督/脚本:ジャン=ルー・ユベール
同監督の作品に『フランスの思い出』1987年。
主演:リシャール・ボーランジェ/アントワーヌ・ユベール/ジュリアン・ユベール
主演の子供2人は監督の実の息子。役名もアントワーヌとジュリアン。

友達に勧められて見ました。

物語

 第二次世界大戦が終わろうとしている頃、米軍歓迎の準備に追われるフランスの小さな村。村のはずれの木に登っていち早く戦車をみつけた少年たちはおおはしゃぎで「米軍が来た!」とふれ回る。ところがやってきた戦車は実はドイツ軍の残党だった。勘違いから取り返しのつかない事件を起き、少年たちは逃亡の旅に出ることになる。

感想(はげしいネタバレ部分は反転で)

 子供たちのたくましさと、ふれあいのあたたかさ、そして戦争のどうしようもない虚しさ。原則的には「よかったねぇ!」泣きたいたちなのですが、不幸な中だからこそ輝く美しさというのはありますな。
 まあなんというか、おっさん脱走兵と悪童兄弟がうち解けていくさまはひたすら幸せで、しかも道理の解った犬つきという最強パーティ。観ながら身をよじってしまうわけですよ。
 しかし、クライマックスでの悲劇は、教会で死屍累々を見てしまった混血の脱走兵の気持ちはすさまじいものであったろうが、米兵に取り囲まれたところで子供の心配をする気持ちがあるなら、そんな危険だとわかっている教会でいつまでも叫んでないでとっとと子供らのところに戻ってやれよーと思いました。どうしようもないことの虚しさは、避けられないからどうしようもないんだと思うんですが、この場合、避けられるよね。脱走兵のキャラクターがもともと感情的であったりうかつであったりするものであれば納得できたのですが、そんなキャラなら前の戦争で死んでそうな気もするしなあ。そのへんが微妙にもにょるクライマックスでありました。
 まあ、ストーリー序盤の「米軍が来たよ〜!」と子供らが走ってきたあたりの村全体のわき上がる楽しい空気からいきなり村長銃撃→俺の子じゃないから俺は悪くない発言、というショッキングな展開から、ああ、この監督は白土三平だ。鬼で悪魔だ。今後どんなひどい展開になろうとも驚くまい、と覚悟はできていたのですが。むしろそういう流れから子供らのたくましいさまにつながっていくあたりはとてもすがすがしくて、それは素敵でした。

 そして、話の筋と同等かもしかしたらそれ以上に重要かもしれないのが、兄弟の兄の方の役の子がすさまじい美少年であるというずるさ(笑 しかも姿が美少年でも全然おとなしくなくて、たくましいクソガキなところがさらにずるい。しかも女装! 女装して女の子と思わせるだけの容姿である必要から美少年なのかと思いきや、監督の実の息子なのだそうで。すげーなー。もうだめです。生足がまぶしすぎです。伊藤潤二のマンガのようにスレンダーでエロい足。個人的に、人間でも犬猫ぬいぐるみでも美形が過ぎると引く傾向にある私ですが(その点、弟の方は素直に私の心を惹きつけます。ワインラッパ飲みとか猛烈にニヤニヤする)、じじじ、女装されちゃあ生つば飲みますわな。
 この兄役のアントワーヌくんは、この2年前に制作された監督の自伝的映画『フランスの思い出』にも主演しているそうですが、悪童役ではないみたいなのでどうなのかなー。でも、こっちは血も涙もない展開ではなさそうなあたりが安心。

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